11月7日、会社分割や株式交換などの税務対策に詳しい佐藤信祐事務所の佐藤信祐公認会計士・税理士は、事業承継のための企業再編の活用例を軸に、会計事務所が顧問先に提案する最適な手法を解説した。 自社が組織再編を行う場合は税制上の適格組織再編か非適格組織再編の相違点を踏まえた上で検討すべきだとし、適格要件については「組織再編を実施する企業が、組織再編の直前と直後の事業の継続実態で判定する」と語る。ポイントは支配関係が継続する組織再編か否かだといい、例えば一部の事業の売却やM&Aは適格に該当しないと解説した。 またMBO(経営陣による買収)については、「社員は資格保有者というプロフェッショナル集団である会計事務所ほどMBOがやりやすい産業はない」と述べ、設備投資は不要で在庫を持たない組織構造の利点を挙げて会計事務所がMBOに適していることを示した。 また佐藤氏は成長が止まった今の時代だからこそ組織の効率化を唱える。「M&Aや事業承継などの実務を通して、三ちゃん会社(父、母、子どもで構成される家族経営)のような小さい組織が儲かっているという実感がある」と語り、社長のモチベーションの高さが家族経営の強みの多くを占めており、組織の規模と組織力は必ずしも正比例しないと強調した。税理士から組織運営の相談を受ける際も、佐藤氏は闇雲に社員を増やすことを奨励していないといい、具体的なアドバイスとして「所長のストレスと精神安定を考えても、社員を増やすのではなくバイト2、3人でとどめておく方が効率がいい」と進言するという。セミナーでは事業の一部分の事業承継や少数株主対策などの活用例も紹介した。 |