平成20年12月の公益法人改革で、営利活動が目的でも設立できる「一般社団法人」「一般財団法人」(一般法人)と、公益性の認定を受けて設立する「公益社団法人」「公益財団法人」(公益法人)が登場した。中田氏は、公益法人や一般法人は、定款等で出資者(社員)が残余財産の分配請求権または払戻請求権を行使できないと定められている「持ち分の定めのない法人」とされることがポイントであると説明。法人の含み益が出ても基本的に社員はそれを受け取れないことから、個人財産を親族が関わる法人に移行して保有する場合は相続税の課税対象にならないと考えることができる。この仕組みについて「必ずしも節税につながるとは言い切れないが、ケースによっては大きな効果が期待できる」として、活用法を解説。個人から持分の定めのない法人に寄付(贈与・遺贈)をした場合の相続・贈与の税務の原則や応用について述べられた後、節税対策になり得る具体的事例が複数挙げられた。 一般社団法人と一般財団法人との比較では、組織構成に必要な最少人数や一般財団法人の「最低純資産規制」を踏まえ、「一般社団法人の方が運営しやすいと言える」と説明した。ただ、「一般財団法人と比べてオープンなことから、法人を親族以外に乗っ取られる可能性がより高い」といった注意を付け加えた。 受講者から「相続アドバイスの幅が広がった」という声が寄せられるなど、参加した税理士らからの好評を博した。 |